音空間事業本部 岩渕 淳、田中 渚

1. プロジェクト概要

放送局内の本スタジオでは、ラジオの音楽番組収録からミックスダウンに至るまでの幅広い作業が行なわれている。今回、収録スタジオは仕上げのリニューアルを、コントロールルームは固定遮音層を残し浮遮音層からの全面改修を行い、2chを主とし5.1chサラウンドミックスにも対応できるモニター環境を構築した。

2. コントロールルーム

前後寸法が短く左右に長い室形に加え、階高が低い厳しい条件の下、居住空間の確保と低域処理の両立が最大の課題であった。天井内部には曲面拡散体を、後壁には柱状拡散体『Acoustic Grove System』を設置し、ミッドモニタースタンドにも同要素を取り入れた。さらに天井には高さを変えながら円柱スリットを吊るすことで、ミキサー席はもちろんのこと、ディレクター席も含めて解像度の高いクリアな音場を実現した。また、レコーディングスタジオに必須の覗き窓も、音像の大きさや定位に悪影響を及ぼすことが考えられることから、改修前の窓サイズを見直す等の最適配置を行い、窓廻りの音響処理とコンソール前の音響衝立を含めて音響調整を行い、解像度と視認性との両立を実現した。なお、スピーカは当社のNES211S(T)が採用されている。

併設するブースはナレーション録りだけではなく、ミーティング等様々な用途に対応するデザイン、音場となっている。

Control room : front
Control room : front

Studio : front
Studio : front

Speaker stand
Speaker stand

システム機器
Console : Solid State Logic C264HD
Main monitor : N ES211S(T)×2
Mid Monitor : GENELEC 8040A×5 , GENELEC 7270A×1
Digital audio processor : Lab.gruppen lake LM 26