音空間事業本部 佐古 正人
スタインウェイ 選定室 1
1. 概要
今回、世界的なピアノメーカーの日本法人である、スタインウェイ・ジャパン株式会社様の選定室の音響設計施工を行った。ここは、数台の同型のピアノを並べ、各個を演奏して最も気に入った音のピアノを選定する部屋である。そのため、各ピアノの特徴が詳細に聞き分けられる音場が必要である。そこで今回は、高音の直接吸音はなるべく減らし、フラッター対策としての、平行面を減らすため、縦方向に壁面を傾ける工法をとった。また、空気層を利用し、低音の吸音効果を得るため、傾けた壁の裏の空間を利用している。その他にも、柱状拡散体ANKHを4台設置し、適時移動などをして音場の改善が出来るようになっている。
意匠としては、意匠設計の井渡屋建築設計事務所様の提案で、ピアノの鍵盤を模したメープル素材の鍵盤の集合体のイメージとなっている。
最後になりましたが、意匠設計の井渡屋建築設計事務所様、施主のスタインウェイ・ジャパン様にこの場をお借りしてお礼を申し上げます。
2. お客様の声
完成後の感想は、自然な響きで、鍵盤の一つ一つの音が、より明瞭に聞き分けられるという印象です。この部屋は、ピアノ選定のみならず、世界中の有名ピアニストが取材や、試弾にも訪れます。どのような場合でも、この環境なら問題なく演奏、試聴ができると思います。このような音の環境が実現し、大変満足しております。
スタインウェイ 選定室 2
ボストン 選定室
ANKH