音空間事業本部 野澤 由香、稲毛 大輔

1. プロジェクト概要

2010年秋、テレビ東京では神谷町本社ビルの1Fの来客用打合せスペースを改修、様々なイベントなどに幅広く利用できる「第7スタジオ(7スタ)」をオープンした。改修前の打合せスペースは大きな窓を有し、その他の壁面は総大理石の2層吹き抜けの大空間であったため、残響時間も長く、話声の明瞭度も良いとは言えなかった。対策としてセットの一部として配置された自立トラスを活用し、仕上げに配慮しながら吸音処理を行った。また、近隣からの外来電波の影響も多分に受けるため、この場所でインカムなど放送機材を使用した場合には、吸音処理に加え、シールド対策も必要であった。外来電波対策としてシールド効果のあるフィルムを室内側に貼り、機器への影響を軽減させた。入口には、デザインイメージにあわせ丸窓を配したモダンな簡易防音建具を製作し取り付けた。この7スタは、ガラス貼りで内部を見ることができるため、多くの見物人が集まるスポットとなっており、視聴者の反応を感じながら番組制作ができるスタジオとして稼働中である。

2. お客様の声

大理石とガラスに囲まれたこのスペースは、以前から残響時間が長すぎて会話が成り立たないと、打合せスペースとしてさえ不評でした。この場所をスタジオとして使用するという突飛なプロジェクトを聞いた時、その実現性はゼロに近いと思っていました。プロジェクト内でも「問題は音」という認識は高く、実現するには日東紡さんにお願いするしかない!と声高に訴え、様々なハードルはありましたが日東紡さんにお願いすることができました。完成したスタジオは心配された残響もかなり吸音され、複数の無指向PINマイクによる集音も問題なく行える以前からは考えられない音場になっていました。外観もセットに馴染み、自然な感じで美術陣も納得。現在は毎日2番組の生放送を行っており、スタジオ不足の我が社にとって注目されるスペースとなっています。

ロビー側より
ロビー側より