関西テレビ放送 音声中継車

音空間事業本部  伊藤 夏美  藤原 昂  佐竹 康  崎山 安洋

概 要

2023 年春より関西テレビ放送様の新型音声中継車が稼働を始めた。メインルームとサブルームによる2 室構成で、両室共に7.1.4ch のイマーシブオーディオ制作環境を実現した。主調色としてメインルームには青、サブルームには赤、基調色として両室ともに明るめのベージュを選定。ハイトスピーカーマウントの折り上げ部にも、各室の主調色の青と赤を配色し、間接照明には両室同色系の器具を採用した。
2 室の間にマシンルームを配置することで、室間の遮音を確保し、メイン/サブルームを同時に運用させるだけでなく、各室へのケーブルルートの最短化にもつながった。
コンソールはソリッド・ステート・ロジック社 SystemT が採用された。メインルームのメイン卓には同社S500、メインルームのサブ卓とサブルームの卓には同社リモートフェーダーが備わり、複数人オペレーションのよる同時作業も可能となった。さらに、メインルームのコンソールをスライド機構付き架台に設置することで、メンテナンス性も向上させた。
サラウンドスピーカーは常設とせず、サラウンド運用時にのみサイドは壁掛け式の台、リアは自立式型の台を使用し、2ch再生時の広さを最大限確保した。
また、ハイトスピーカー設置による高さ方向の圧迫感を出来るだけ軽減するため、スピーカーマウント部の天井を円形状に折り上げて取付けた。これに合わせて中央のベージュ色の明るい円形パネルが浮かびあがるようなデザインにしたことで、両側壁の間接照明も相まって、さながら宇宙船内部のような近未来的なイメージの空間となった。デザインだけでなく、メイン2ch のラージスピーカーNES111S も狭さ感を感じさせない迫力のあるモニター音となっている。

箱根ターンパイク頂上にて富士山をバックに
箱根ターンパイク頂上にて富士山をバックに

お客様の声

納品されて扉を開けたとき、中継車の中をこんなにスタイリッシュにできるのか、という驚きから始まりました。どちらの部屋も基調色と主調色のバランスが素晴らしく、また中継車の車内としては珍しい間接照明が室内を上質に見せ、また解放感を演出しています。ハイトスピーカーが吊られている室内でも頭上の圧迫感を全く感じさせず、それでいて音響設計と両立しているのが素晴らしいです。音響は部屋の位置による音質の偏りも少なく、締まっているが硬過ぎない、NES111S の性能を十分に生かした空間表現性の良い音に仕上がっていると思います。イマーシブサラウンド用スピーカーとの音質の整合もうまく取られています。入室した方々からも軒並み大好評で、まさに制作者の為の至高のオーディオルームに仕上げていただきました。

システム
Main Console : SSL SystemT S500 /
Sub Console : Remote Fader / Main Monitor : NES111S(V)
Surround Monitor : KS Digital C8-Reference(L/R),
KS Digital C5-Reference (C/Side/Rear),
KS Digital B88-reference(LFE), Genelec 8010APM( Top)

メインルーム:ハイトスピーカーマウントと円形パネル
メインルーム:ハイトスピーカーマウントと円形パネル
メインルーム:可搬型サイドサラウンドスピーカー台
メインルーム:可搬型サイドサラウンドスピーカー台
サブルーム全景
サブルーム全景

おすすめの記事