音空間事業本部 平田 昌之 崎山 安洋 根木 健太
1. 概 要
空間を贅沢に利用したオーディオルームが完成した。施主は既存オーディオルームに対し室容積が絶対的に足りない事に不満があり、本計画の要望は、4mに及ぶ仕上げ天井高さを確保する事であった。仕上天井裏にある音響処理スペース・空調機+消音ダクト配管スペースを含めると、一般住居で2 層吹抜け相当の空間が必要となり、設計段階から計画に盛り込んだ。壁面内に設置されたANKH・コーナーANKH は、リスニングポイントと機材との位置関係から検討を重ね、設置位置を決定した。試聴時、曲間の無音時でも空調騒音が気にならないように空調設備はダクトタイプとした。隣接する住居エリアの明るい白色系の意匠に合わせ、オーディオルーム床仕上も白色系とするなど共通イメージも重視。将来、シアタールームとしての用途を考慮し、照明設備は調光・調色・配光の機能を設定。
2. お客様の声
天井高制限に由来した定在波を一掃し、今まで体験したことのないブレーンな音に一転。じゃじゃ馬と評価されたスピーカーのウーファーもちゃんとコントロールができ、大音量で鳴らしてもほぼストレスレスで聴ける。また、防音対策がしっかりしたため、家族や近隣への影響を心配せずに深夜でも迫力のあるブルックナーやマーラーの交響曲を楽しめる。
エアコンのダクトも完璧に消音処理されて、夏場でもSNと快適さの両立ができ、従来部屋や外部環境の制約によって真価が発揮できなかった器材の「本気」を聞かせてくれた。