音空間事業本部 後藤 宏明、福満 英章

1. 概要

2004年に全面リニューアルされた、渋谷のサテライトスタジオ『TOKYO FM スペイン坂スタジオ』。日々様々なゲストが出演し、長蛇の列ができる渋谷の名物「見せるスタジオ」となっている。そんな中、「見せるスタジオ」の特徴である、ほとんどを垂直なガラスで囲われている空間が、音の反射の影響で語尾が聞き取りにくく、会話がかぶった時は内容がよくわからないということもあり、今までいろいろなチャレンジを行ってきたが、大きな効果が得られずにいたとのこと。今回、見せるスタジオはそのままで、スタジオの有効サイズは極力変えずに出来る対策を検討した。具体的にはANKH、吸音反射パネルをいろいろな設置パターンにした場合の肉声を収録し、その聴き比べ実験を行なった。結果として、部屋の対角にANKHを設置し、ガラス面下部壁面の1/3程度に若干の角度をつけた吸音反射パネルを設置することで、明瞭な音が得られ、お客様の理想的な環境に一歩近づけることが出来た。

2. お客様の声

今回の10月の調整以降、「以前より声が前に出てきたように感じられる」、「以前より声に芯が出てきたように感じられる」と、好印象な評価を頂いております。日々、いい機材の追求はしておりますが、アコースティックにこだわる必要性を実感したような気がいたします。この分野は奥深く、いろいろと研究をしていきたいと思っております。