音空間事業本部 佐竹 康、牧野 和裕、田中 渚
1. プロジェクト概要
弦・管楽器から、ピアノ、パーカッション、ドラム、ボーカル、エレキ楽器まで、7つの独立したブースを有する本スタジオは、番組のメインテーマや劇伴の録音がメインで行われる。今回のリニューアルでは、スタジオフロアのブース間のアイソレーション強化のための大型防音建具の改修と、コントロールルームにおけるアナログ・コンソールも含めたシステム更新に合わせて、弊社ラージモニターNES211S(H)によるITU-RBS775-3準拠5.1chサラウンドモニター環境を構築した。
2. コントロールルーム
コントロールルームのリニューアルの最大の特徴は、天井面に導入した球状拡散体である。天井高がなく、横長室形状のコントロールルームでは、天井面が室内音場に及ぼす影響が支配的となるため、デザインとともに天井の音響処理が重要なファクターとなった。そこで今回、『Acoustic Grove System』の設計思想を発展させ、柱状ではなく『球体』の拡散体を採用した。径の違う無数の球体をランダムに天井面から吊るすことで、球体群からの微細な拡散反射音をより広いエリアに返し、リスニングエリアの拡大と、抜けの良いモニター環境を実現している。
また、スピーカバッフルは、スタジオフロアを臨む大きなガラス窓を確保しつつ、窓を跨ぐ形で鉄骨トラスフレームにより構築。リジッドな構造とメカニカルアースを両立した強固なバッフルを構築することで、レスポンスの良いモニター音質を目指した。
【システム機器】Console : API Vision 64Fader
Main Monitor : NES211S(H)*5, NES100LFE*2, Amp. NES500
Digital audio processor : Lab.gruppen lake LM 44
Control room : front side
Control room : Rear side
Studio : Main floor