音空間事業本部 木村 文紀、研究開発部 宮崎 雄一

1. スタジオ概要

スタジオ・モイは渋谷区富ヶ谷の閑静な住宅街にある。今回は編集室からMAへのコンバージョンを計画。音の編集機能が増えたことで、編集意図を作業に即刻反映し易くなり、スピードとコストの面でもクライアントとポスプロ側、双方にとってメリットが見込まれる。プランとして、既存構造をいじらず遮音補強すること、サラウンド再生環境を構築、アナブース新設の3点が要望として挙げられ、施工の要点を絞った計画を提示した。

2. 音響上の特徴

既存編集室(幅3.6m×縦7.3m)の縦長の空間を生かすため、リアサラウンドスピーカを135°に配置して最大限サラウンドサークルが取れるよう配慮し、閉塞感を感じないようデザインの面でも工夫を施した。

サラウンド再生環境において部屋固有のモードの影響を回避するため、リスニングポイント・スピーカ位置などの基本検討を行い、ピークディップの少ない空間を構築。モニタースピーカは事前に比較検討を行い、忠実に音場を表現するADAM S3Aを選択。スピーカ台はLCRそれぞれ独立軸組で構成し、台には無収縮モルタルを充填してブレの少ない再生環境を目指した。

音響調整はスピーカ廻りの吸音材,拡散材の調整に加え、ADAM内蔵のBASS,TREBEL,ATTの機能のみを使用、アナログオンリーの調整をして、クセがなくクリアな音像を表現する空間を実現した。

また、Boothとしては比較的広いスペースを確保し、2~3人でのアフレコ録音にも対応。その上で窮屈さを感じさせず、音響的にも抜けのよい音場となるよう適度な吸音処理を施した。遮音構造においても独立鉄骨軸組を採用し、高い遮音性能を実現した。

3. お客様の声

再生環境として、音像が大きくなり過ぎずよく見える空間を構築することができました。ブースも密閉感を感じず、固有のクセが全くなく素直。Non-EQで録音が可能となっているほどです。MA・Boothともに予想以上の音場に音響調整していただきました。

短期間のプロジェクトでしたが、CGパースにより綿密な打ち合わせができ、満足のいくMAを完成させることができました。

スタジオ概要
工期 2009年1月~2月(システム施工含め1ヶ月)
AVIDシステム 報映産業
音響システム TAC SYSTEM
所在地 東京都渋谷区富ヶ谷

MA Studio(26.3㎡) D-Control 16FaderMA Studio(26.3㎡) D-Control 16Fader Protools HD+MojoSDI 5.1monitor ADAM S3A,S2

固有モード計算による基本設計

固有モード計算による基本設計

Color Sample Image Color Sample Image Color Sample Image

Color Sample Image

Announce Booth(7.8㎡)Announce Booth(7.8㎡)