音空間事業本部
廣瀬大輔 河野恵 宮崎雄一
葛西信輔 渡會健 高橋茉里奈 宮田岳学 崎山安洋 出口公彦

Ast. Main Studio

1.Overview

2018年6月、代々木公園の緑が眼前いっぱいに広がる絶好のロケーションにレコーディングスタジオ2室(A・Bst.)とライブ機能を備えたリハーサルスタジオ(Cst)からなる新たな音楽スタジオ――"Studio Tanta"が誕生した。地上7階・地下3階建ての新築スタジオビルには、眺望が良いのはもちろんのこと、インテリアや家具に拘ったレセプションラウンジやアーティストルーム、そしてフレンチレストランも併設されており、アーティストの音楽制作環境をON・OFF両面からサポートできるよう計画されている。

計画の初期の段階から一貫したスタジオ設計・施工を任せて頂き、さらにはスタジオビル全体のデザインにも携わらせていただきましたこと、関係者の皆様には厚くお礼申し上げる。

2.Studio Design

"アコースティック楽器を演奏したときに自然な響きがすること"と"アーティストにとってリラックスできる居住性の高い空間とすること"の二つをコンセプトの柱に据えて、音響仕様を決定し、使い勝手を考慮した機能的なデザインと感性を刺激する意匠の融合を考えた。

Astはストリングス録音が可能なメインフロア(天井高6m)と4-Rhythmの同時録音などもできる5ブースの構成で、幅広い編成のレコーディングに対応している。メインフロアは高い天井による音抜けの良さと、天吊り拡散板やウッドブロックの拡散(傾斜)壁、V字に配された石壁などにより自然で豊かな響きが特徴となっている。コントロールルームは左右のブースの覗き窓部分と後壁全面にAGSを配し、天井には大型の音響調整用クラウドを造り、ミキシングポイントからディレクター、クライアントスペースまでの音場を整え、広いリスニングエリアを実現している。

Bstはリズム録りにちょうど良いサイズ感で、メインフロア(天井高4~4.8m)の他、3ブースを備えている。ウッドリブやウッドブロックによる拡散吸音や上向き傾斜の石匿による拡散反射、傾斜した反射拡散天井等によりこちらも明るい抜けの良い音場となっている。

Cst.はリハーサルスタジオとしてはもちろんのこと、ライブを想定した昇降ステージなどの設備を備え、かつ最適な音場となるよう機能性と意匠性を両立させたデザインを妥協なく実現した。


Ast. Main Studio


Ast. Control Room


Ast. Piano Booth / Ast. Drum Booth


Ast. Control Room

3.お客様の声

先ずは、なぜスタジオを創ろうとした動機ですが、さかのぼること約15年前、某企業に従事していた頃にある製品のサウンド作りに関わりを持つことがありました。いわゆる効果音のようなものでしたが、デジタル化された音に何故か不快感を覚え、どうしても馴染めない?アナログな効果音のほうがどこか心地よく、ホッとする。何故だろう?と感じるようになりました。自分がレコード世代だから新しい音作りについていけないのか?と考えてみたものの、やはり納得できない。若い頃、70、80年代に下手な学生バンドをやりながら、ロック、フュージョンなどを聴いたりしていたのですが、社会人になってからは一切、音楽とは無縁となり、また90年代の音楽を巷で聴いてもあまり心に残らず、というより不快感を感じ、世の中にCDプレーヤーなるものがあることすら関心を持たなくなっていました。

話は戻りますが、効果音作りに関わるにあたり古いギターを引っ張り出して、自分なりのメロディーを作ってみたりしているうちに「やはりアナログな音がいいなぁ」「いつかレコーディングスタジオを創ろう」と夢を抱くようになりました。そんな中、今から10年前になりますが、あるご縁で代々木公園駅近くの110 坪の土地を取得することになり、5年後その隣地約40坪を取得。構想、設計、建築に紆余曲折5年間かかり、やっとの思いで「Studio Tanta」を完成することができました。このスタジオのコンセプトは「アコースティック楽器が自ら鳴り出すくらい良い音が出せる。」「部屋自体が唯一無二の楽器であること。」そんな想いでこのスタジオを創りました。今後、アナログレコーディングがどのような位置付けとなり受け入れられるのか、不要となるのか?私には分かりかねますが、「いい音」作りにお役立てできれば幸いです。 家主

Floor Map

フロアの様子

フロアの様子

フロアの様子