味覚が目覚める究極のリラックス空間

音空間事業本部 山下 晃一、大山 宏

1. プロジェクト概要

ネスレ日本様が手掛ける「ネスカフェ原宿」に、沖縄・西表島の大自然を店内に再現したカフェ「"コク深き楽園カフェ"with ネスカフェ ゴールドブレンド コク深め」が、7月16日から26日まで11日間の期間限定でオープンした。まるでそこにいるかのように感じられる空間を再現するため、店内40カ所に設置されたスピーカーが西表島の音空間を再現している(AWAKEN)。音場再現での課題は奥行感、定位感、そして静寂感などがあるが、今回、当社のAGS(Acoustic Grove System)製品であるANKH・SYLVANが32台導入され、大自然の広大な空気感と静粛感をもたらしているとの評価をいただいた。3面に大きなガラス面があるにも関わらずブーミーさを感じさせず、収録された自然音の定位感を忠実に再現している。

2. お客様の声

様々なノイズにまみれたストレスフルな現代社会において、「心からリラックスできる居心地の良い時間と空間を提供する」をコンセプトに、本来の自分に出会う時間と五感をフル稼働できる屋内空間を提案しています。今回、DSD11.2MHz40chの多層サラウンド音場によって、世界に誇る手つかずの自然を有する西表島の原寸大の空間を再現し、高精細で奥行き感のある動画と静止画を組み合わせコマ数可変の4K動画に再構築することで、南の島独特のゆったりとした時の流れを感じていただくカフェ空間をつくりました。

原宿の朝は西表の朝、昼は昼、夕方は夕方、夜は夜、と、一時間ずつリアルタイムに雲が流れ、潮が満ち引きし、鳥や虫が鳴き始め鳴きやむ番組を流したところ、別の時間帯を狙ったリピーターさんも結構いらっしゃって、ひとつの空間を再現するというテーマが良い形で実を結んだと思います。

3面ガラス張りで目の前は山手線の原宿駅ホーム、勢いよく都会の機械ノイズが飛び込んでくる空間でしたが、AGSのもたらす低域の抜けの良さが「これでもか」というくらい効いていて、拡散音場の解像度の高さと相俟って、山手線内回り外回り/埼京線/湘南新宿ラインの4編成が同時に目の前を通過していても、夜中に無数に鳴き始める虫の数を数えられるような、私にとっても驚きの連続でした。

期間中、猛暑の中の夕立に多々見舞われました。一日は渋谷駅地下街が冠水するほどの雷雨が数時間にわたって降り続けたのですが、「こんな雷の中のロケは大変だったでしょう」と皆さんに言われまして、屋外と屋内を隔てる「壁」という概念が「柱の群れ」という理念によって打ち砕かれたことを再認識しました。

これまでは、ノイズフルな外の音場と屋内に再構築する音場は完全にアイソレートするという方針でおりましたが、広大な神宮の森によって拡散された山手線の音がAGSの拡散音場内で西表島のDSD立体音場と空間MIXされることを体感して、都会のノイズと共生する居心地の良い空間もできるのだという気付きを与えられました。

写真にあるように、ガラス面は全て、35mに渡るパノラマ写真を特殊な布に印刷することで、原宿の時間毎の外光を色温度そのままで拡散しながら取り込む施工としました。「間接照明」という言葉が市民権を獲得して久しいですが、照明という光源に対するスピーカーという音源ではなく、人々が集うときに無限の音源から発生するエネルギーを拡散してくれるAGS音場に改めて無限の可能性を感じております。

これからも科学的な観点から様々な実証実験を積み重ねて、居心地の良い社会の実現に貢献していきたいと思っています。

AGS開発チームの類い希な発想力と、パワフルでセンス良い商品企画力、実行力に敬意を表し、末永い協業をお願いする次第です。

(コク深き楽園カフェ・プロデューサー/笹村崇雄)

カフェ内の様子
カフェ内の様子

店内各所に配置されたAGS/ANKH
店内各所に配置されたAGS/ANKH

全体イメージ図
全体イメージ図

測定風景
測定風景