音空間事業本部  矢野 辰巳 田山 哲
ソリューション事業部  松尾 浩義

1. 概要

戸田建設筑波技術研究所に、様々な建物の音環境をシミュレーション体験出来る新音響実験棟「シミュレーター室」が建設された。

従来は通常高さの居室を改造した室に、鳥かご方式のマルチスピーカ装置を設置していたが、新設されたシミュレーター室は専用施設として構築しており、常時お客様の来所、試聴を可能にしている。

球面状に設置された36個のスピーカと6個のサブウーハーからなる36.6chサラウンドスピーカによる立体音響再生システムで音に包み込まれる空間を創出している。天井面スピーカは円形の吊りバトンによる昇降式としている。また電動昇降式の3面大型スクリーンによる映像再生装置を併せ持っている。

内装は簡易無響室仕様の、床壁天井を多層式グラスウールのウイスパーウォール仕上げによる全面吸音とした。床は格子の上に取外し式の歩行用床パネルを敷き込み、床下からの音の放射と空調吹き出しを兼ねた開口を設けている。床パネルの上に3種類の椅子(劇場、講堂、映画館)を設置しており、椅子の座り心地を確認しながらも多人数で体験できる施設としている。


シミュレーター室前景


シミュレーター室後景


スピーカ昇降機構


コントロール装置

2. お客様の声

8年前の音響実験棟に続き、素晴らしい施設を造っていただきました。このシミュレーター室は、設計段階で、ホールの響きや音の方向別到来、居室の響きを付加した部材透過騒音を可聴化するシステムを備えていますが、その性能を発揮するための、必要な音のみを抽出できる静謐の保たれた室にしてほしい、という要望を見事に叶えていただきました。細かいところまで目の行き届いた音響的処理のおかげだと思います。この技術が継承され、またの機会にもお願いできれば幸いです。

システム
直接音用SP×2台KEF
サラウンド用キューブSP×34台(頂部下部2、斜め上8、水平16、斜め下8)CODA
天吊りサブウーファ×2台JBL
床置きサブウーファ×4台JBL
プロジェクタ×3台EPSON
スクリーン×3面KEC<サウンドスクリーン仕様>

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