ソリューション事業部 騒音環境改善チーム 青木 雅彦

本業務は騒音源の対策を検討されている企業様向けのサービスです。
個人で騒音にお困りの方、騒音の相談を受けている管理会社の方向けには対応しておりませんが、こちらが参考になれば幸いです。

1. はじめに

工場・事業場の騒音環境改善を今まで以上にサポートさせていただくため、私たちはパートナーである企業と一緒に騒音環境改善チームを立上げました。このチームではコンサルティングから工事まで、一貫した体制で騒音問題の解決に取組んでいます。そこで今回は私たちがご提案する工事の特長をご紹介させていただきます。

2. アルミ防音パネル「アースパネル」

図1 アースパネルのカットサンプル 図1 アースパネルのカットサンプル
図1 アースパネルのカットサンプル

防音壁の工事では、(株)環境技建アースとともに従来の鋼製防音パネルではなく、アルミと特殊発泡ガラスの吸遮音材を組み合わせた「アースパネル」(図1)をご提案しています。このアースパネルの特長を一般の鋼製防音パネルと比較して以下に示します。(表1)

表1 アースパネルと鋼製防音パネルの比較例
アースパネル 鋼製防音パネル
音響透過損失
(500Hz)
28dB
(当社実験値)
35dB
(他社カタログ値)
寸法 L=2000×500×90 L=2000×500×90
材質 アルミ+特殊発泡ガラス+
可視光触媒
スティール+グラスウール
重量 19kg/㎡ 30kg/㎡
耐候性 可視光触媒により
劣化速度を遅らせる
表面仕上フッ素塗装
4~6年
耐蝕性 あり ボルト部等より錆発生
メンテナンス 汚濁は高圧洗浄可
触媒塗布7年~10年
パネル表面のみ
フッ素塗装4年~6年
産廃性 アルミ再利用
発泡ガラス再利用
グラスウールの処理
現状では難しい

図2 アースパネルの施工イメージ 図2 アースパネルの音響透過損失実験値
図2 アースパネルの施工イメージと音響透過損失実験値

アースパネルの音響透過損失は500Hzで28dB(図2)ですが、この性能は一般の鋼製防音パネルよりは劣ります。しかし実際の騒音対策では、防音壁に期待する減音量は最大でも10dB~15dB程度であることから、このアースパネルの音響透過損失は充分な性能であると言えます。さらに軽量であること、可視光触媒塗布による維持管理の容易さ、リサイクル性の高さなど、従来の鋼製パネルにはない優れた特長を兼ね備えています。また音響透過損失についても、当社の音響研究所で改良を目指して実験を重ねています。(図3)

図3 アースパネルの音響透過損失実験(当社音響研究所) 図3 アースパネルの音響透過損失実験(当社音響研究所)
図3 アースパネルの音響透過損失実験(当社音響研究所)

3. 特殊発泡ガラス吸遮音材「アースブロック」

工場建屋の吸遮音対策には、特殊発泡ガラス製の吸遮音板「アースブロック」をご提案しています。(図4)アースブロックはガラスのリサイクル過程でできた粉末から作られており、従来のグラスウールにはない耐候性を持ち、吸音だけでなく遮音性能も期待できます。これを工場建屋の内側に施工することで、外部への遮音対策と、工場内の作業環境騒音の対策を兼ねることができます。また、このアースブロックはアースパネルの内部にも使われています。

図4 アースブロックのサンプルと断面の拡大 図4 アースブロックのサンプルと断面の拡大
図4 アースブロックのサンプルと断面の拡大

ガラスの粉末を板状に成形するには高度な技術が求められます。この技術は騒音環境改善チームのメンバーであるエスケー鉱産(株)と、製造工場である(株)壱水が築き上げてきたものです。

図5 アースブロックの原料と製造工場 図5 アースブロックの原料と製造工場
図5 アースブロックの原料と製造工場

アースブロックの吸音率は500Hzで0.42、周波数が高くなるにつれ吸音率も上昇します。私たちは吸音性能の更なる改善を目指して音響研究所で実験を重ねています。(図6)

図6 アースブロックの吸音率実験(当社音響研究所) 図6 アースブロックの吸音率データ
図6 アースブロックの吸音率実験(当社音響研究所)と吸音率データ

4. 可視光触媒

今までご紹介したアースパネル、アースブロックは表面に二酸化チタンを主成分とした可視光応答型光触媒「バイオミミックコート」の塗布を標準としています。この塗布により耐候性を高め、表面の劣化を遅らせる効果があります。騒音環境改善チームのメンバーである(株)バイオミミックのカタログからの抜粋を以下に示します。(図7 ~図8)

図7 可視光触媒の効果
図7 可視光触媒の効果

図8 可視光触媒の施工事例
図8 可視光触媒の施工事例
※図7、図8 (株)バイオミミックのカタログより引用

防音壁は建物同様、長期間に渡って使用されることから、騒音環境の改善効果は当然として、維持管理の面も考慮した対策をご提案させていただきます。

5. 防音ボックス・防音フード・サイレンサ

工場では騒音発生源を囲む防音ボックス、給排気口に設置する防音フード、サイレンサなど、音源側での対策も重要です。私たちは騒音環境改善チームのメンバーであるアコスエンジニアリング(株)とともに、音源側の対策についてもご提案させていただきます。(図9 ~図11)

図9 防音ボックス 図9 防音ボックス
図9 防音ボックス

図10 サイレンサ
図10 サイレンサ

図11 防音フード
図11 防音フード
※図9、図10 アコスエンジニアリング(株)提供

防音ボックスは必要に応じて3タイプの遮音性能をご提案することができます。サイレンサと防音フードについては、必要な騒音対策値に合わせた設計が可能です。

6. おわりに

今回は騒音環境改善チームがご提案する騒音対策工事の特長をご紹介させていただきました。私たちはノイズビジョンによる騒音源の可視化、ジオノイズによる対策案のシミュレーション検討から、騒音環境監視システムによる騒音状況の常時監視、あるいは騒音対策セミナーの実施など、工場の騒音環境改善のために、さまざまなお手伝いをさせていただくことが可能です。ぜひお気軽に騒音環境改善チームまでお問合せください。

図12 騒音環境改善チーム
図12 騒音環境改善チーム

本業務は騒音源の対策を検討されている企業様向けのサービスです。
個人で騒音にお困りの方、騒音の相談を受けている管理会社の方向けには対応しておりませんが、こちらが参考になれば幸いです。