DUTCHMAMA STUDIO

工事部 佐古 正人

1 はじめに

東急田園都市線、つくし野駅前の両側に桜並木がある道を、歩くこと15分。点在するとうもろこし畑や菜の花畑を横に見ながら、やがて、そこにDUTCHMAMASTUDIOに到着します。
このDUTCHMAMASTUDIOは新設のRC造3F建で、都心にあるテナント形式のスタジオとはひと味違い、ゆったりしたスペースのあるスタジオとなっており、本年8月にオープンしました。
当社は、今年2月上旬より6月下旬にかけての2か月半において、A及びBスタジオを遮音層より施工させて頂きました。その間、施工現場に立ち会わせていただいたものとしての立場から、今回、このスタジオの概要をご紹介させて頂きます。

2 STUDIO概要

3F建の建物には、1FにA STUDIO、2FにB STUDIOとラウンジ、3Fには事務所.仮眠室があります。

まず、A STUDIO及びB STUDIOの構成、床面積、仕上天井高は下記のとおりです。

床面積仕上天井高
A STUDIO
・スタジオ 40m2 4.9m
・コントロールルーム 45m2 2.8m
・ピアノブース 10m2 2.4m
・ブース(1) 8m2 2.4m
・ブース(2) 3.5m2 2.15m
・AMPブース(1) 1.2m2 2.15m
・AMPブース(2) 1.2m2 2.15m
・サウンドロック 2.6m2 2.15m
・マシンルーム 7m2 2.15m
・アンテルーム 6.6m2 2.4m
B STUDIO
・コントロールルーム 42m2 2.8m
・ブース 17m2 2.4m
・マシンルーム 7.5m2 2.8m

STUDIOプラン
STUDIOプラン

主な仕様としては、まず、A STUDIOでは、浮遮音層は天井、壁とも石膏ボード15mm×2層(レンガブロック補強あり)及び、コントロールルーム側スピーカー面のみ、コンクリートブロック(モルタル全充填)を使用しています。
スピーカー取付方法としては背面固定、スピーカー台はモルタル(厚み20cm、総重量2t)になっています。仕上は、クロスパネル仕上になっています。
仕上は、基本的に天井、壁ともクロスパネル仕上ですが、スタジオドラムエリア廻りについては、腰下壁(H;1m)までは古煉瓦仕上、腰上壁及び、天井はパイン材板貼りになっています。AMPブースに関しては、壁はグラスウール額貼り、天井、床ともクロスパネル仕上げになっています。
B STUDIOでは、ライン取り主体のスタジオということもあり、ブース以外は基本的に浮構造になっていません。躯体コンクリート面に吸音処理をほどこし仕上げとなっています。仕上は、主にクロスパネルですが、スピーカー面についてはパイン材板貼りになっています。スピーカー取付方法としては、置き型で、スピーカー台はモルタル(厚み平均300程度、総重量3t)になっています。スピーカー台に関してのみ廻りの軸組からは縁をきり、浮構造としています。また、ブースは浮構造となっています。
以下に、A及びBスタジオの特徴を紹介させていただきます。

A STUDIOコントロールルーム
A STUDIOコントロールルーム

3 A STUDIO

(1) スタジオ、ドラムエリア廻りについて

今回ドラムエリア廻りの仕上げについては壁は1mの高さまで古煉瓦それ以上の壁、天井を、パイン材としています。その部分をもう少し詳しく書かせて頂きます。
まず煉瓦部分ですが、スタジオ奥のドラムエリア廻りの三方の壁をぐるりと全面煉瓦にするため、AMPブースの扉が床から90cmのところに取り付ける形になりました。そのことにより、後で述べるAMPブースの特徴な構造という副産物を生むことになりました。

また、表面は煉瓦ですが裏側では、浮遮音層のボードの前に15cmの空気層を作り、コンクリートブッロク積とし、そのブロックにモルタルで煉瓦を張りつけ固めてゆく形になっています。このことによりドラムエリア廻りの壁は、かなりの重量(腰下壁のみで総重量4t)になっています。
次に腰上の壁、天井の部分ですが、浮遮音層のボードの前に10cmの空気層を作り、グラスウール充填後、ボード15mm+ベニヤ12mm+ボード15mm+仕上パイン材の積層板になっています。このことにより重量感ある面からのよりクリアーなぬけのある反射音が得られるようになっています。
さらに、三方の壁のうち1面(ブース(1)側)は同仕様の木扉にしてあり、開けると内側のクロスパネル仕上の吸音面がでてくる仕組みになっており、吸音、反射の調整ができるようになっています。
その他には、奥の壁と天井の取り合い部分を、取り外し式のクロスパネルとし、その裏にボード、ベニヤ積層の残響可変窓をもうけてあります。これを開放状態にすると、ドラムエリア上部の天井裏の空間も室の容積に含まれ、室全体の残響率を変化させることが可能となっています。

(2) AMPブースの特徴

先にも述べたとおり、AMPブースの床レベルは、スタジオよりも1m程上げざるを得なかったため、当初は、床をそのレベルまでコンクリート浮床にするなどの意見もありましたが、最終的には、コンクリート浮床はスタジオと同レベルにし、床下に空間をつくり吸音層を設置することにしました。
室の仕様として、まず床は、コンクリート浮床の上に角材でやぐらを組み、サウンドトラップなどを吊りこみ吸音処理をしたのち、クロスパネルで仕上げました。これはあくまでギターアンプやベースアンプなどアンプのみが入る部屋として、人はアンプの出し入れのとき以外は入らないという、使い勝手上から決定されたものです。これにより室の吸音率が上がり、よりクリアーなアンプの音撮りが可能になっています。
壁は、当初グラスウール額貼り仕上で施工しましたが、音響調整の結果、一面の壁は、平行トラップとグラスウール額貼とが市松模様となる面にしました。
天井は、クロスパネル仕上とし、その上にサウンドトラップによる吸音層があります。
また、アンプブースということから、遮音構造については、他のブースとスタジオ間の壁は浮遮音層壁(石膏ボード15mm×2層)が接するだけなのに対し、このAMPブースは躯体コンクリート(厚さ15cm)を、両遮音層がはさむ形で間仕切られています。

4 B STUDIO

(1) スピーカー台について

A STUDIOでは、コントロールルームモニタースピーカーが壁に背面固定なのに対して、B STUDIOではスピーカー台の上に置く、置き型になっています。この台はモルタルで出来ており総重量は3tをこえるものになりました。
施工方法は、まず廻りの木軸組(角材100×100)を行い、スピーカ台を浮構造(B STUDIOコントロールルームに関しては浮構造としていない)するため、軸組の上に防振ゴムM-5タイプ(1個当たりの適性荷重70~80kg)を配置し、その上にコンパネ12mmで型枠をつくりモルタルを打設しました。
また、スピーカー下に設置するインシュレーターを型枠製作後、木軸組上部よりボルトに吊るしたベニヤ上に設置し、レベル調整後モルタルを打設を行い、インシュレーターがスピーカー台に埋まっている形で施工しました。

5 おわりに

そもそも、この(仮称)町田レコーディングスタジオ新設工事(DUTCHMAMA STUDIOと成る前の名称)のプロジェクトに私が参加させて頂いたのは今年の2月頃で、あと2か月で現場にのりこみという時期でした。
そして、完成までの間、天候不順や様々なアクシデントが起こるなか、通常は4~6ヶ月かかるであろうという工事を、当初の予定通り、2ヶ月半で仕上げることができたのは、DUTCHMAMA STUDIOのスタッフ、設計及び協力会社をはじめ、数多くの方々のお力添えがあったからと考えています。この場をかりて、あらためて、御礼申し上げます。本当に皆様ありがとうございました。