MOBILE RECORDING STUDIO

Room-A正面

概要

衛星放送だけでなく「WOWOWオンデマンド」や「WOWOW FILMS」を始めとする多彩で良質なコンテンツを提供し続ける株式会社WOWOW様が、ハイレゾ・イマーシブオーディオ制作に特化した音声中継車を新たに構築し、25年4月に運用を開始した。1車両にRoom-AとRoom-Bの2室のコントロールルームを有し、それぞれ7.1.4ch、5.1.4ch、Dolby Atmosモニター環境を整備。96kHzサンプリングにも対応し、まさにハイレゾ・イマーシブをコンセプトとした制作環境となっている。この他、IP化による軽量化に加え、機器電源2重化と発動発電機・UPS搭載による電源の冗長構成を実現し、中継車として考えられるフルスペックの仕様を備えている。
音楽フェスなどの2ステージ同時ミックスや、音楽ミックスと放送用MC付・送出管理作業など、複雑で大人数・長時間作業となる運用に柔軟に対応できるようにRoom-Bにも最大限のスペース確保が必要なため、拡幅機構を採用している。
「モニター環境にもラグジュアリーを」をコンセプトに、ファブリックや木部、床材の質感や、間接照明、LEDファイバーライトを使った演出照明など細部に至るまで、音質面だけでなく居住環境向上へのこだわりが詰まっている。

お客様の声

コンサートのライブ収録・配信を主眼に音楽業界の方々にも広く使っていただくため、ハイレゾレコーディングとイマーシブオーディオに対応し、快適でクリエイティブな空間を作り上げることを目指しました。
美しいデザインの仕上げを備えた上で、レコーディングスタジオとしての機能と走行する車としての機能という、相反する部分の両立をうまくまとめていただきました。このプロジェクトではSI社を立てず、各専門業者の方々と綿密な打ち合わせを直に行えたことで、内装だけでなく、車両、電源、システム、機器まで細部に渡ってこだわりを貫けたことが良かったと思います。
モニター環境については、音声卓の裏側の見えない部分など、細部に渡ってアコースティックな調整を突き詰めていただいた結果、エンジニアの皆様にご好評をいただきながら運用できております。
今後、Dolby Atmosでの生配信や、イマーシブレコーディング後の映画への展開などにも様々なコンテンツ制作へ挑戦していきますのでご期待ください。

Room-A System : L/R/C : musikelectronic geithain RL933K1、Ls/Rs/Lrs/Rrs//Ltf/Rtf/Ltr/Rtr: musikelectronic geithain RL906、LFE:musikelectronic geithain BASIS 11K、Console : SSL System-T S500
Room-B System : L/R/C/Ls/Rs : GENELEC 8331AP、Ltf/Rtf/Ltr/Rtr : GENELEC 8010、LFE:GENELEC 7050A、Console : SSL System-T S300

外観
全長10.87m ×幅2.49(拡幅時3.25)m ×高さ3.57m。
「マンガンラスター」色を基調に、音をコミュニケーションとして使うクジラをデザインモチーフに採用したボディ・ラッピングが施されている。
拡幅時全体外観
Room-B を拡幅した状態。
歩道側の車体が80㎝外に跳ね出すことで室内が拡がり、中で2~3人での同時作業が可能なスペースを確保。(提供:WOWOW)
Room-B正面
Room-B の内観。
室内機器ラックにProTools、SSD マルチ等のレコーダーが集約。Dante、MADI、同期信号を介してRoom-A とも接続。
Room-B背面
拡幅時のRoom-B 内観。
拡幅で可動する部分にも間接照明が仕込まれている。5.1ch作業の際は、拡幅してから妻板にリアスピーカーをマウントする。
Room-BハイトSP
Room-B のハイトスピーカ。
歩道側の拡幅部が室内に収納される際に干渉しないよう、天井を掘り込んでギリギリにマウントされている。
ステージBOX
圧巻のStage BOX。アナログ288chの入力を有する。
Dante 256ch、MADI4系統のSRC入力にも対応。(提供:WOWOW)
Room-A星空
Room-A の天井。
ベース照明と間接照明の明かりを落とすと天井面に星空が浮かび上がる。
音響だけでなくデザインも重視したこだわりのディテール。
拡幅部
拡幅部の妻手側にも入口扉。
雨天や夜間作業も想定して庇と照明も完備され、細部にわたって運用面のホスピタリティが行き届いている。(提供:WOWOW)

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