ソリューション事業部  潮田 初音  森尾 謙一  藤原 賢

はじめに

弊社では、企業や教育機関で「音のプロフェッショナル」を効果的に養成するためのサービスとして、音を実際に聴き比べながら音の知識や理解を深められる音響教育サービス「真耳Online」を提供してきました。
真耳Onlineはオンラインサービスであるため、新しい機能が続々と追加されていくのが特長です。
ユーザーのトレーニングデータを活用できるような機能開発も進んでいます。
本記事では、真耳Onlineがこの2年間で遂げためざましい進化の一部をご紹介します。

リニューアル前

新機能1.自習機能

真耳Online のトレーニングは、「受講者を会議室や試聴室などに集め、スピーカから音を出して一斉に回答する」というスタイルを想定しています。
というのも、真耳Onlineは「ユーザー1 人ひとりの音を聴く能力の向上」だけを目的としているのではなく、みんなで同じトレーニングを同じ空間で受けることによって、「組織・チームで音の聴き方を共有する」「音についてのコミュニケーションの基礎を作る」ことも大切だと考えているからです。
しかし、週1 回の集団トレーニングのみではなかなか実力がつかないのも事実です。「トレーニングの復習のために個人練習がしたい」というたくさんのお客様からの熱い声もあり、2020 年11 月、真耳Online に待望の「自習機能」がリリースされました。
この「自習機能」によって、イヤホンやヘッドホンを使用して、好きな時間に、好きな場所でトレーニングに取り組めるようになったのです。
昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、受講者全員が一堂に会することが難しいというお客様も多く、集団トレーニングを実施せず自習のみでトレーニングを進めるお客様もいらっしゃいます。
ちょっとした業務の合間など、いつでも、どこでもトレーニングができるため、弊社社員からも好評の機能です。

写真1 RD-90、RD-100外観写真
集団トレーニングと自習を併用することでトレーニング効果が高くなります

トレーニングコンテンツも増強

進化したのはシステムや機能だけではありません。 2019年10月時点で40種類配信されていたトレーニングコンテンツは、2020年10月には138種類、そして2021年10月には183種類になりました。
特に、真耳Online を利用されるお客様のレベルアップに合わせて、難度の高いトレーニングコンテンツが増えてきています。
例えば、「残響時間の長さを聴き分けるトレーニング」や、「コンプレッサーで加工された音源のわずかな違いを聴き分けるトレーニング」など、基礎的な「高さ」や「大きさ」の違いだけでは説明できない音の違いを聴き分けるという、より聴感評価の実践に近いコンテンツなどを制作しています。

写真1 RD-90、RD-100外観写真

新機能2.レーティング機能 (2022年3月頃リリース予定)

真耳Online では、トレーニングの成績を評価する指標として「正答率」を採用しています。 例えば、10 問出題されて、7 問正解すると正答率は70% で、この正答率が高いほど能力が高く評価されます。 ところが、真耳Online のトレーニングコンテンツは、初心者向けの易しいコンテンツからベテランをも唸らせる高難度なコンテン ツまで様々です。 易しいコンテンツにばかり取り組んで正答率が90% のA さんと、難しいコンテンツにたくさん取り組んで正答率が70% のB さんでは、どちらの能力がより高いのでしょうか。 このように、正答率にはユーザーの実力だけでなく、取り組むトレーニングコンテンツの難度が影響します。 そこで、2022 年3 月、ユーザーの本当の実力を知ることができる新機能「レーティング機能」がリリースされることになりました。

写真1 RD-90、RD-100外観写真
易しいトレーニングで好成績を収めるより、
難しいトレーニングに挑戦する方がレーティング値が高くなります

レーティングとは、能力の高さなどを数値化すること、それによって評価することです。 真耳Onlineの「レーティング機能」では、ゲームなどで広く用いられるレーティングアルゴリズムを真耳Online用にアレンジした独自指標を用いて、正答率だけでは表せないユーザーの実力を数値化しています。 また、レーティングは数値が出るだけではあまり意味がありません。 自分の実力をよりわかりやすくするため、レーティングの表示方法にもこだわりました。 真耳Onlineの画面では、全ユーザーのレーティング値を集計した度数分布図を表示します。これにより、全ユーザーの中での自分の実力を確かめることができます。 このように、レーティング機能のリリースによって、他のユーザーと比較した自分の実力、トレーニングコンテンツの難度によらない自分の実力が一目でわかるようになるのです。

写真1 RD-90、RD-100外観写真
レーティング度数分布図(イメージ)
全ユーザー内での自分の位置がわかります

2022 年のレーティング機能リリース以降も、ユーザーのレーティング値を基にトレーニングコンテンツをおすすめする機能など、レーティングを活用した新たな機能開発を進める予定です。

おわりに

本記事では、真耳Online のこれまでの主要な機能アップデートやコンテンツ制作についてご紹介しました。 このように真耳Online では、システムのアップデートや新規コンテンツの配信を日々おこなっています。また、トレーニングデータの分析や実力の可視化、フィードバックを通して、より効果的なトレーニングができるようサポートをしています。 ぜひ、今後の真耳Online の進化にもご期待ください。

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