音空間事業本部 矢野 辰巳   ソリューション事業部 松尾 浩義

無響室内観(3次元アンテナパターン測定システム)
無響室内観(3次元アンテナパターン測定システム)

1.概要

首都大学東京(日野キャンパス)に、今春、実験棟群が完成した。

この敷地上空には横田基地の軍用機が飛来するため、計画初期段階から騒音測定や無響室の暗騒音レベルの予測計算を行いプロジェクトを進めた。関係者のご協力もあり、非常に静かな無響室となった。

また、電波と音波を兼用で測定する施設として計画されたので、電波吸収体と吸音楔の合体構造および性能の検討を行った。事前に試作品の製作やシミュレーションを重ねた。電波暗室として、室内は非金属で構成する必要があり、非金属歩行床、非金属引き戸用などを有しており、電波暗室と音波無響室の完全なるハイブリッド化が可能となった。

2.お客様の声

電波と音波を両方吸収する無響室は、波動情報工学研究室の最先端の研究を支える重要な設備となっている。電波音波無響室では、アンテナ特性の測定や多チャンネルスピーカを利用した3D音場再生システム、さらには高分解能録音システムによる測定など電波と音波の実験が行われている。

本実験室は限られた研究スペースの有効利用という面でも優れており、さらに電波と音波の同時計測が可能であることは大きな魅力である。

立体音場再生システム
立体音場再生システム

電波音波吸収体
電波音波吸収体

仕 様 

吸収吸音層:発泡ポリエチレン型電波吸収体ベース吸音楔(650mm)
暗騒音:20dB(A)以下(空調換気稼働時、航空機飛来時)
電波不要入射特性:20~35dB(800MHz~20GHz)
音波自由音場特性:125Hz以上でISOJIS許容偏差内
設備:立体音場再生システム、アンテナパターン測定システム