
音空間事業本部 竹下 優美 出口 公彦
改修のポイント
今回の改修のポイントは、スタジオのクローズ期間を『できるだけ短く』というなかでご希望の改修をどこまで達成できるか?であった。旧システム機材の撤去から新システム機材搬入までの8 日間で天井を除く床・壁の仕上照明器具の更新とコンソール家具の設置という命題にトライした。
スタジオのデザイン
この柱邪魔だなぁ。現調時に一番に感じたことだ。建物がセットバックしているため垂直ではなく斜めに伸びるとても存在感のある大きな斜め柱。
壁面と同色で馴染ませようとしても、存在を隠す事は難しい。無いモノを作り上げることは容易だが、有るモノを取り除く事はなかなか困難な作業だ。それならば『思いっきり存在感を与えてみよう』それが、今回のデザインコンセプトである。
また、スタジオと副調整室の空間は音的には完全に遮断されているが、切っても切り離せない関係性。2 つの空間を1 つにさせたいという思いで2 室間を跨いだ黒い1 枚岩ならぬ1 枚壁とし、連続した同一空間の意味合いを持たせた。
斜め柱はビビットな赤を、連続する空間の繋がりに黒の1 枚壁を配置することでスタジオと副調整室の一体感を造り上げた。
お客様の声
四半世紀におよぶ内装と機器。機器は入れ替えることで最新にできますが、内装は平成初期を彷彿さえる色使いと、驚きのくたびれ加減でした。当然、全て解体して造り直せば垢ぬけますが、建物そのものも古いことと、スタジオ閉鎖期間の兼ね合いもあり、いかに補修だけでデザイン性を上げ、将来を見据えた家具にできるかこだわりました。よく見ると長年の傷がそのまま残されている部分もあり、そこがここの長い歴史を感じさせますし、柱を逆に目出させた赤いクロス、ここがスタッフの一番お気に入りポイントでした。


