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発行日:2025年02月07日 | 更新日:2025年02月10日

 去る2024年12月29日、年末の足音で街がにぎわっている休日、日比谷のベヒシュタイン・セントラム 東京ザールでピアニスト 近藤 嘉宏さんのリサイタルが行われました。
 近藤嘉宏さんは桐朋学園大学を首席卒業。1987年日本音楽コンクール第2位。大学卒業後ミュンヘン国立音楽大学マイスターコースにおいて名匠ゲルハルト・オピッツ氏のもと更なる研鑚を積み、92年ミュンヘン交響楽団との共演でデビュー、大成功をおさめました。日本国内では1995年に正式にデビューし、翌96年にはCDデビューを果たし一躍注目を浴びる存在となりました。以来、日本を代表するピアニストとして第一線で活躍されており、Denon、Philips、Deccaなどのメジャー・レーベルをはじめとし、30タイトル以上のCD及びDVDを国内外でリリース、その内容もソロ、協奏曲、室内楽と多岐にわたっています。[1]

リサイタルの概要

 そんな第一線で活躍されている近藤さんですが、弊社では以前よりコンサートのサポートを行っており、ピアノ演奏でのAGSの活用についてインタビューに応じて頂いたこともあります[2]。一音一音の表現を大切にしお客様にベストな音を届けたいという考えから、AGSがピアノ演奏にもたらす効果についても深く理解されている近藤さん。すべてリスト作曲のプログラムとなった今回のコンサートは、近藤さんの高い音楽性とそれを裏付ける技巧や繊細な表現が余すところなく発揮されました。

AGSの設置状況とリハーサル中の近藤さん

 当日はコンサートに向けて、午前中からベヒシュタイン・セントラム 東京ザールにてAGSの調整作業に参加しました。使用するピアノはベヒシュタインの最高峰フルコンサートD-282。近藤さんはピアノの調律でも細かい要望を伝え、まずは楽器を念入りに調整、その後AGSの調整を行いました。AGSは前回のコンサートの設置記録をベースとし、寸分違わず同じ位置に設置しましたが、今回の曲目や表現を考えて近藤さんと協議をしながら再度微調整を行いました。特にピアノ下の床に設置するANKH-VI FL99のセッティングには徹底的にこだわり、数ミリ単位で位置を微調整し、音を確認。ベストな位置を目指しました。
 本番は40名のお客様で満席となりました。アットホームな雰囲気で進行し、最後はリストが作曲した現存する唯一のピアノソナタである、ピアノソナタ ロ短調。緊張感に満ちた素晴らしい演奏で、ダイナミックな曲調と彫の深い表現に魅了されました。設置したAGSもその効果をいかんなく発揮でき、満席のお客様にとって大変印象深い年末の午後となったのではないかと思います。
その後、近藤さんはベヒシュタイン・セントラム 東京ザールにて録音に臨まれたとのこと。その時の様子も写真を頂きましたのであわせてご紹介します。

ベヒシュタイン・セントラム 東京ザールにてレコーディング中の近藤さん

 スピーカによる再生音場の利用の印象が非常に強いAGSですが、今回のような音楽演奏の場でも使われています。今後のAGSの適用範囲の広がりにもぜひご期待ください。

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