ANYCOLORスタジオ部の部長・水越一海氏は、スタジオ移転のいきさつをこう振り返ります。
「ここ数年、弊社に所属しているライバーの数に対して、スタジオの数がまったく足りていない状態が続いていました。タレントの数は増え続けていて、さらに弊社はアカデミーも運営し育成にも力を入れているので、新しいタレントもそこからどんどん生まれてくる。その規模に見合ったハコを用意する必要があったのです」
移転後のスタジオの構成は以下の通り。
・3Dスタジオ×3
・2Dスタジオ×5(うち1つはグリーンバック仕様)
・レコーディングスタジオ×2
・MA(エディット)スタジオ×2
・個人用配信ブース×4
3Dスタジオから見ていきましょう。3Dスタジオはライバーのコンテンツ作りにおいて重要な存在です。ライバーの体や小道具にモーションキャプチャー用のマーカーを取り付け、アクティングエリア(演者の動きが捉えられるエリア)の前後左右+上を囲むように設置した専用のカメラで動きをトラッキングし、動かします。水越氏はスタジオ移転に際し、3Dスタジオの天井が高く取れる物件を求めていたと言います。
「3Dスタジオの天井高は高ければ高いほど良いです。天井が高いとダンスの中でジャンプするような動きにも余裕を持って対応できますし、モーションを正確に捉えられます」
設計を担当した日本音響エンジニアリングの出口公彦は、3Dスタジオの床の構成について次のように語ります。
「アクティングエリアは床の構造を変えていて、飛び跳ねたときに足への負担が少なく、かつ床が沈みすぎないように、硬すぎず柔らかすぎずというバランスの浮床になっています。一方で、トラスが乗っている部分はアクティングエリアとは縁を切って、モーションキャプチャーのカメラが揺れないようにしています」