NOE技術ニュース

建築音響・騒音対策の設計・施工事例と音響技術に関する情報を発信しています。

発行日:2026年06月25日 | 更新日:2026年07月08日

MA室のコントロールルーム。デスクは5人が並んで座れます。この部屋は5.1ch仕様。

2026年3月23日、IMAGICAエンタテインメントメディアサービスは、アニメーション特化型のポストプロダクション拠点「新宿アニメーションスタジオ」をオープンしました。日本音響エンジニアリングが設計・施工を担い、アフレコブースを備えたMAを3室、オンライン編集室を2室、オフライン編集室を2室完備しています。これによりワンフロアで、映像編集、音響制作、多言語ローカライズまでを一貫して行える環境が提供されています。

編集とアフレコ/MAを同フロアで

このスタジオが作られた経緯について、
IMAGICAエンタテインメントメディアサービス ローカライズ部 ダビンググループ 課長の遠山正氏はこう語ります。

IMAGICAエンタテインメントメディアサービスの遠山正氏

「日本のアニメが世界的な広がりを見せる中、充実した制作拠点へのニーズが高まってきています。このスタジオはそれに応える形で作られました。大きな特徴として、編集とアフレコ/MAが同じフロアで行うことができます。アニメの制作拠点でこの環境が整っているところはなかなかないので、メリットを感じていただけると思います」

オンライン編集室。オフライン編集室やMA室と同フロアでシームレスに行き来できます。

アニメーション部 アニメーション音響グループ 課長でミキサーの水野涼香氏はこう続けます。

IMAGICAエンタテインメントメディアサービスの水野涼香氏

「私は以前、アニメの制作会社に所属していたこともあるのですが、日本のアニメ業界の方たちは本当に忙しく、移動による時間のロスを極力避けたいので、この環境はメリットが大きいと思います。また、新宿というロケーションも、アニメの制作会社が多く集積するJR中央線沿線からのアクセスが良く、魅力的だと思います」

オフライン編集室。オンライン編集室とともに同じ形の部屋がもう一つ用意されています。

約20人収容可能なアフレコブース

物件探しにあたっては、天井高が3m以上であることが条件の一つに挙げられていました。この理由について日本音響エンジニアリングの宮崎雄一はこう話します。

日本音響エンジニアリングの宮崎雄一

「日本のアニメ制作の特徴でもありますが、アフレコ時に多くの声優さんがブースに入ります。大人数で作業し、なおかつ声を張るような場面も多いので、自然な響きを得るためにも広くて高い空間が必要になるのです」

約20人が入れるアフレコブース。作業の効率性を考えヘッドホンは“見える収納”に。

日本のアニメのアフレコは、1本のマイクに複数の声優がスタンバイし、入れ替わりながら収録するスタイルが主流です。
これを実現するために「新宿アニメーションスタジオ」のアフレコブースは約20人の収容が可能となっています。
また、大人数での作業を効率的に行うための工夫も施されています。この点について日本音響エンジニアリングの神崎優が語ってくれました。

日本音響エンジニアリングの神﨑優

「映像用モニターの設置台を収納として活用する提案をした際に、現場の使い勝手を考慮したアイデアをいただきました。キューボックスをそのまま収納できる高さを確保したり、声優さんが入室してすぐ手に取れるよう、ヘッドホンを入り口近くに“見える収納”として配置したりしています」

広い空間が確保されたコントロールルーム

MA室のコントロールルームは、2部屋が2ch仕様、1部屋が5.1ch仕様となっています。こちらもアフレコブース同様に広い空間が確保されており、デスクは5人が横に並んで作業できる大きさです。
ローカライズ部 ダビンググループ ミキサーの辻誠氏は、このコントロールルームは「とても使いやすい」と語ります。

IMAGICAエンタテインメントメディアサービスの辻誠氏

「部屋の構造が3部屋ともほぼ同じで、システムも同じものが入っているため、どの部屋でも同じ感覚で音作りできるのがいいですね」

MA室のコントロールルームは、後方の関係者席も広く取られています。

さらに、クライアントなどの関係者が着席するスペースも余裕を持って作られています。前出の遠山氏によると、お客様からの問い合わせ時に「コントロールルームに何人入れますか」と聞かれることが多いそうです。

「別拠点でアフレコの事業を行っている際、広さが決定要因になることも多かったので、今回のスタジオを作る上ではその点を留意しました。」

また「セキュリティについては、Motion Picture Association(MPA)が定めるセキュリティ評価プログラム『TPN』の最新評価基準『MPA Best Practices v5.3.1』に準拠し、他の当社施設と同じ設備・運用による高いセキュリティ水準を維持しております」

スタジオ内で動画撮影を行うときなどに楽屋としても機能するミーティングルーム。

お客様から「ホテルのよう」と評されたこともあるロビー。開放的な雰囲気です。

また、一部楽屋としても機能するミーティングルームや広々と開放感あふれるロビーも特徴的です。

「Imagica EMSさまと一緒にショールームへ選びに行きました(日本音響エンジニアリング:今西麻優子)」というインテリアも、落ち着いた印象を醸し出していました。

日本音響エンジニアリングの今西麻優子

最後に、遠山氏より次のような言葉をいただきました。

「無理難題に近い要件をたくさん出したり、仕様変更を余儀なくされることがあったりもしましたが、その都度、日本音響さんからは『こんなアイデアはどうですか』と、予算内でより良くしようとするご提案をいただいて、そのレスポンスの早さと提案力は飛び抜けていると感じました。皆さんの親しみやすさも含め、安心して最後まで進めることができました」

新宿に生まれた新たなアニメ制作拠点で、今後どんな作品が生み出されていくのか注目です。

インタビューに答えてくださった皆さん。前列左から、IMAGICAエンタテインメントメディアサービスの辻誠氏、遠山正氏、水野涼香氏 後列左から、日本音響エンジニアリングの今西麻優子、宮崎雄一、神﨑優

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