3D形状計測機能付音源探査システム

ソリューション事業部 倉光 拓馬、森尾 謙一、田中 菜津

1. はじめに

音源探査システムNoise Visionの全方位型センサーでは、1つのセンサーでビームフォーミング(以下、BFと略します)と球面近距離音響ホログラフィ(以下、Sp-NAHと略します)といった分析手法に対応していることが大きな特長として挙げられます。音の流れをベクトルで表示し、音場を容易に把握できるSp-NAH分析のメリットを最大限に引き出す新機能として、3D形状計測機能をリリースいたしましたので、適用事例を交えながらご紹介いたします。

2. 3D形状計測機能付音源探査システム

これまでもNoise Visionでは3D形状モデルの読み込みに対応しており、3D形状モデル上でどのような音の流れになっているのかを可視化することが可能でしたが、様々なお客様に取材したところ、肝心の3D形状モデル(主にCADデータ)を入手するのに苦労されているとのことでした。BFでは音源探査結果のカラーマップを写真と重ね合わせることにより、どの部分が音源か一目瞭然でしたが、Sp-NAHは音の流れをベクトルで表示するため、3D形状モデルがない場合は対象物と音源の位置関係が分かりづらいといった意見があり、Sp-NAH分析のメリットを半減させていました。そこで、3D形状計測機能付音源探査システムでは、対象物の3D形状を簡単・高速に計測し、音源探査結果を重畳表示することで、車室内やコンポーネント等の音源同定を容易かつ高速に行うことを可能にしました。

図1 機器の構成
図1 機器の構成

この3D形状計測機能付音源探査システムには、以下の4つの大きなメリットがあります。

CADデータ不要

CADデータのない試作品や対策品、他社製品でも3D形状の収録が可能となります。実際の騒音の測定対象物そのものをスキャンすることで、騒音発生時の対象物の状況を再現し、その上で音源探査結果を表示することができます。

簡単

専用ソフトウェアにてリアルタイムに画面を確認しながら3D形状を収録することができます。音源探査システムへの取り込み時も面倒な変換作業などは不要で、そのまま読込みが可能です。

高速

簡単な形状の対象物であれば数10秒、複雑な形状でも数分で3D形状モデルを作成できます。Noise Visionの特長である測定・分析スピードも最大限に活かし、測定開始から最短10分で3D形状モデル上での音源可視化が可能となります。

低コスト

高価な形状計測システムを用いるのではなく、コンシューマ向けの深度センサーを用いることで低コスト化を実現しました。低コストでも音源可視化に充分な精度での3D形状の収録が可能です。

3. 測定の流れ

実際の測定の流れは下記の通りで、非常に簡単かつ高速に測定を行うことが可能となっております。

簡易・高速な3D形状計測システムにて対象物の3D形状を収録。
(所要時間1~2分)
音源探査システムにて1回の測定でセンサー周辺の音場を可視化。
(所要時間3~5分)
音源探査結果と3D形状モデルを重畳表示。
(所要時間1~3分)
図2 測定の流れ

このように収録・測定された音源探査結果は3D表示されるため、あらゆる方向からの音源可視化が可能です。

図3 ドアパネルの音源探査例
図3 ドアパネルの音源探査例

また、対策部品の効果を測定するような場合でも、対策部品を含めた形で3D形状収録することによって、より容易に比較することが可能となっております。

エンジンカバー 無
エンジンカバー 有
図4 エンジン放射音 音源探査例(エンジンカバーの有無比較)

その他にもSp-NAHの特長として、1回の測定でセンサー周辺エリアの音場を可視化できるため、評価点における音源探査のみでなく、広いエリアにおける分布計測などにも威力を発揮します。例えば車室内などの分布計測を行う場合、測定だけで数日間もかかってしまうこともあります。実際に図5のようなアウトプットを得るには、その後の分析まで含めるとかなりの工数がかかってしまうのが実状です。しかし、Noise Visionでは車室内の3D形状モデル作成に5分、測定1点に対して5分かかったとしても乗員席4箇所で20分、分析に10分でトータル30分強もあれば車室内音場の可視化ができるわけです。このようにNoise Visionを利用すれば大幅に工数を削減でき、開発のさらなるスピードアップを実現できます。

図5 車室内音響インテンシティ分布
図5 車室内音響インテンシティ分布

このような車室内といった閉空間における分布計測だけでなく、エンジンやモーター単体の周囲の分布計測も同様に簡単に行うことができます。

図6 発電機周囲の音響インテンシティ分布
図6 発電機周囲の音響インテンシティ分布

4. おわりに

今回ご紹介した新機能はすでに一部のお客様に導入いただき、実際の業務に役立てていただいています。本稿では適用事例を中心にご紹介させていただきましたが、技術の詳しい内容についてお知りになりたい方や実際に評価されてみたい方はお気軽にお申し付け下さい。お客様の環境でのデモンストレーションにも対応いたします。

今後も新機能の開発やさらなる性能向上を目指して、開発スタッフ一同努めて参りますので、Noise Visionシステムの進化にご期待ください。

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