ソフトウェア事業部 松尾 浩義

※この記事は旧版製品について記載されています。新しい製品情報はこちらをご覧ください。

1.はじめに

耳に自信がありますか。音を十分に聞き分けられるでしょうか。 特に、「音」の仕事に従事されている方や「音」にこだわりを持たれている方は、自らの聴覚能力を常に意識されていると思います。

そのような時、自分の耳を、身近にあるパソコンで、簡単にテストしたり、 訓練することができればと思われたことはないでしょうか。そんなソフトが完成しました。 その名を、"聴"能力トレーニング 「真耳 -shinji-」パーソナルエディションと言い、 CD-ROMとして、4月から発売しており、すでに各方面からかなりの反響をいただいております。

ここでは、このソフトウェアのご紹介をさせていただきます。

メインメニュー画面(ドアをクリックすると入れます)
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2.真耳とは

昨年、音楽之友社から北村音壱先生、佐々木實先生の監修による「音の感性を育てる」という本が出版されました。 これは、音を正確に聞き分けられる能力の育成、つまり「聴能形成」についての理論と国内外の大学、 研究所での実施例がまとめられています。この度、発売しましたCD-ROM「真耳」は、この「聴能形成」理論に基づき、 聴能訓練をインタラクティブに、かつ個人で、ゲームをやる様な感覚で取り組む事が出来るように構成されています。

音の高さ、大きさ、音色などに関する聴能の基礎をパソコンを使って、自分の耳へフィードバックしつつ、 感性を高めるという行為は、楽器を演奏する事に近いかもしれませんし、 即座に「正しい」「正しくない」とのレスポンスが返ってくるあたりはまさにゲーム感覚を彷彿させるものです。 基準になる音と、加工された音との差異を判断する事で、相対判定の能力を高めたり、 実際に鳴った音の周波数やレベルを答えることで、絶対判定の感性も訓練していきます。 さらに、音の印象の評価だけにとどまらず、種々の音を創造していく感性の育成を目指していると言えます。

サウンドチェックメニュー
サウンドチェックメニュー
(あなたのパソコンをチェックします。)

3.内容

このプログラムには、音の3要素(高さ、大きさ、音色)を判別するトレーニングは勿論の事、 他に出題された純音やノイズの周波数を答える周波数記憶、 また、音楽を使った一対比較により違いを判断する相対的なトレーニング(音圧レベル差、山づけ、ローカット、ハイカット) の8種類が用意されています。

トレーニングメニュー
トレーニングメニュー
(8人の先生から選びます)

なお、それぞれの問題出題の順番はシャッフル機能により常に入れ替わりますので、 音を正確に聞かないと正解とはなりません。そのことから、このトレーニングは反復して行うほど、 その効果が表れてくるはずです。また、それぞれのトレーニングには、初級、中級、上級の問題が用意されており、 訓練の進捗過程に合せて、ステップアップすることができます。例えば「高さ」のトレーニングは、 入門者用の初級で±10Hz~±3Hzの分別能力を訓練しますし、中級では最高±0.5Hzまで用意されています。 「これが全問正解ならプロ級」と銘打たれた上級では±0.25Hzのまさに難解極まる問題が待ち構えております。 そして、トレーニング終了後には無常な成績表が登場して、自分の実力をじっくり(?)と見据えることができますし、 丁寧にやさしく勘所を教えてくれるムービーまでも用意されています。

4.目的

このソフトウェアの狙いは、単純にいろんな人に「ちゃんと音を聴いてみよう」 (こんな書き方をすると誤解を生んで怒られてしまいそうですが......)に尽きるのではないかと思います。

西瓜の中身のつまり具合や列車のボルトの締まり具合、 ワインやチーズの熟成・充実具合を調べたりするなど、「物を叩いて音を聴く」という行為で判断に活用したりする様な、 実際に音を聴くことで自分の仕事に役立てたりする事は、身の回りでもかなり多いのではないでしょうか。

ある著名なレコーディングエンジニアは、旅行する時等、必ずポータブルDATを持ち歩き、 いろんな身近な音を気のむくままに録音してくるそうです。持ち帰った音はサンプルしたり、 そのまま曲(?)としてCDに使用できる様な物までも有るそうで、クオリティに溢れているその現実が、 我が国日本の騒音・雑踏の中で暮らしている者にとって羨ましい限りです。

音楽家の耳が良いという話は、「音に関する感性」が良いという事だと思います。 長年の音楽の勉強・演奏を通じて耳の訓練がなされた結果によるものです。

「高さ」のトレーニングメニュー
「高さ」のトレーニングメニュー

また、録音関係の技術者は、仕事を通じて音を聴く訓練がなされて、 感性が磨かれているはずです。それぞれの持って生まれたものによるところもあるはずですが、 体系化された方法による教育・訓練の実施で、その感性を引出したり、さらに伸ばす事は可能であると考えます。

その方法こそが「聴能形成」であり、その可能性をパーソナルに提供して行きたいという狙いが、 このCD-ROM「真耳」にはあります。

5.動作環境

このソフトが動作する環境は次のとおりです。

対応OS:Microsoft Windows95/NT3.51以降
CPU:486DX4-100MHz以上
必要メモリー:16MB以上
推奨モニター:VGA(640×480ドット解像度以上)、256色表示以上
CD-ROMドライブ:4倍速以上
サウンド機能:16bit、44.1KHzサンプリング、ステレオ

なお、現在、MAC版及び英語版の製作を進めておりますので、こちらの方もご期待ください。

「高さ」(初級)の練習メニュー
「高さ」(初級)の練習メニュー
(本番ではこれらの音がランダムに出題されます。)