建築音響 設計・施工 日本音響が提案するAGSを用いた新しい音場

壁の存在を感じさせず抜けが良い音空間は長く居ても疲れない理想の生活空間です

AGSはレコーディングスタジオや放送スタジオといった音の製作現場から、音楽を楽しむためのオーディオルームや楽器練習室まで、様々な用途の音響空間で採用されてきました。
音響諸室は部屋の用途により求められる要素が異なります。例えば精緻な音創りを行うスタジオでは高い解像度、精緻な音像定位、そしてミキサーやエンジニアが行った音響処理が手に取るようにわかることなどが重要です。オーディオルームでは音楽ソースに含まれる情報が余すところ無く再生され、音像の拡がり感、奥行き感が感じられ、大きい音から小さい音の変化がグラデーションのように細かく感じ取れること、そして大音量でも音が歪まず長時間聴いていて疲れないことも重要な要素です。

私たちはAGSを活用してお客様の用途に合わせた『音のよい部屋』を提供してきましたが、お客様から「解像度が高く音像定位が明確に聴こえる」、「自然な響きと音の拡がり感、奥行き感が実現されている」といった音場としての技術的な評価に加えて、「閉塞感が無く部屋が広く感じられる」、「居心地が良く長くいても疲れない」といった音の評価だけにとどまらない感想や評価をいただきます。また、私たちはこうしたAGSの音場を多くの方に体感しただける場として『サウンド・ラボ』と名づけた試聴室を作り、2009年11月のオープン以来多くの方々にお越しいただきましたが、ほとんどの方からも前述のようなインプレッションをいただきます。「音の良い」空間を突き詰めると、生活空間、作業空間としても「居心地が良くそこに長く居たくなる」空間を実現できる可能性を感じています。

実際に音とは直接関係ない場所への導入も始まっています。そのひとつが「森の中のような音のよい銀行」「そこで働く人にとってもそこを訪れるお客様にとっても居心地がよく快適な空間」というテーマでできた『音のよい銀行』(弊社技術ニュース第33号をご参照ください)です。サウンド・ラボに足を踏み入れたときに感じた無限の広がりと心地良さに、このような空間で仕事ができたらどれほど発想力が豊かに、かつ、集中してできるだろうか、というインプレッションがきっかけになったそうです。その他にもアナウンスブースなどで直接音楽とは関係しない部屋でも採用されています。余計な力を入れずに発声できるので長時間発声していても疲れない、といった評価をいただいています。

サウンド・ラボにはオーディオファンのみならず様々な分野の方々が来られますが、「よい店は音がよい」という話しをされるお客様がいました。お客様が多く集まり繁盛している店は必ずといっていいほど音がよいそうです。それは流れている音楽がよいということではなく、店に一歩足を踏み入れた時に聴こえる足音や声の響き、空気感ではないかということです。また「上手な運転は車室内の音がよい」とおっしゃる方もいらっしゃいました。私たちは『音のよい』空間を創造することで『よい店』を創造できるのではと考えています。音のよいブティック、音のよいレストラン、音のよいホテルなど、よい音を極めることで実現したいと願っています。