技術部 大山 宏

1. はじめに

このたび、手狭になりました技術部事務所の移転に伴いまして、併設しておりました無響室を撤去して、 念願の残響室も備えた研究開発拠点を千葉北に新設致しました。社名にもありますように、私たちは「エンジニアリング」こそが業務のコアにあると考えており、 単に試験計測を請け負うだけでなくお客様の抱える真の問題点にできるだけ近づいて、問題解決に取り組みたいと考えております。 当研究所では、我々自身の研究開発テーマに取り組む他、お客様からご依頼のありました委託研究、共同研究、 委託試験業務等を積極的にお受けしまして皆様のお役に立ちたいと考えております。特に、

  • 音響材料開発の支援業務
  • 自動車部品の遮音性能評価
  • 自動車の遮音性能評価・改善実験
  • 建材の遮音性能・吸音性能試験

など当研究所施設の特徴が生かせる業務に力を入れていきたいと考えております。

2. 施設概要

当初は無響室の移転だけを想定していましたが無響室をはさんで自動車を入れることのできる残響室と小片の音響材料測定用の小型残響室が欲張って計画されました。 また、無響室床の吸音楔は取り外し式として半無響室に変更できしかもここにも自動車が入れられるように設計されました。 計測室には音響材料評価システムが設置できるようにレイアウトしました。

■大型残響室

  • 容積:140m3
    (7.4m(D)x4.7m(W)x4.0m(H))
  • 試料寸法
    音響透過損失:最大2.7m(W)x2.3m(H)
    残響室法吸音率:8m2

■小型残響室

  • 容積:9m3(不整形7面体)
  • 試料寸法
    音響透過損失:最大1m(W)x1m(H)
    残響室法吸音率:1m2

■無響室

  • 寸法
    完全無響室時:6.2m(D)x4.8m(W)x2.9m(H)
    半無響室時:6.2m(D)x4.8m(W)x3.6m(H)

■音響インピーダンス測定装置

  • 試料寸法:直径40mm、300mmx300mmの2種類

■Biotモデル予測に必要な材料パラメータ試験装置

3. 試験項目

前述のような施設を用いて主として次のような音響試験が実施できます。

  • 残響室法吸音率
  • 音響透過損失
  • 垂直入射吸音率
  • Biotモデルの予測に必要な材料パラメータ
    (流れ抵抗、Tortuosity、粘性/熱的特性長、複素弾性率)
  • 車体遮音性能
  • 各種無響室測定

など

4. おわりに

このような施設を作ることができましたのは日頃からの皆様のご支援の賜物であります。 今後も様々な分野で音に対する要求は高まるばかりです。我々は当研究所を核として皆様からの様々なご要望にお応えしたいと考えております。 今回ここでご紹介しました内容に拘ることなく何なりとご相談いただけますようこの場をお借りしましてお願い申し上げます。