音響設計

スタジオの音響設計技術

スタジオの建築音響設計には、録音の対象や目的、スタジオの運用や居住性なども含めて様々なニーズに応えることが求められます。
建築音響設計の基本的な考え方は共通であり、以下の3つに大別されます。

1.室内の十分な静けさを確保すること。
2.室外の近隣に騒音として漏れないこと。
3.録音の対象や目的にふさわしい室内音場を有していること。

1.は、室内暗騒音を決定する騒音と振動の防音・防振設計、及び空調の消音設計が中心です。
2.は、ドラムやベースなどの演奏音、スピーカからのモニター音等、特に低音域の騒音や振動に対する防音・防振設計が求められます。
3.は、スタジオの録音音場とコントロールルームの再生音場に関する室内音響設計です。これらの3つのポイントのうち一つでも欠ければ、スタジオでの作業に大きな支障をきたすことになります。

コントロールルームの音響設計=モニター音場の設計

波動音響シミュレーションによる音圧分布の例 スタジオの音響設計では、計画コンセプトや構築したい音場イメージをお客様と共有することが一番重要だと考えます。 その中で、建築条件によるレイアウトの自由度、建築基準法や消防法などクリアすべき法規上の問題、設備設計における条件、居住性・運用を考慮したレイアウト等、それら全てを検討しプランを作成します。建築音響的な視点はもちろんのこと、モニタースピーカの特性や機器システムの特徴といった技術面とコスト面とを考慮した技術提案を行い、良質で作業性の良いモニター音場を実現させることが必要です。 コントロールルームの音響設計では、低域の伝送周波数特性についてはできるだけフラットな特性が得られるように室の基本形状(浮遮音層の形状)から検討を行います。中高音域を対象にした音響内装設計は、強い音響エネルギーをもつ一次反射音の回避や残響時間計画といった検討事項に加え、自然な音像定位やリバーブ感等を狙った適切な拡散反射面の配置、音質を考慮した仕上げ材の選定、モニタースピーカの設置方法や周辺の音響処理といった細かな点まで設計に盛り込んでいきます。

収録スタジオの音響設計

収録に使うスタジオに求められる音場は、アコースティック楽器の録音を行うのに相応しい適度な響きと、ミュージシャンが演奏しやすく、パフォーマンスを引き出しやすい響きを兼ね備えることが重要です。設計時には、レコーディングの楽器配置を想定し、音場コンセプトに基づいた吸音面・反射面をバランス良く配置します。ブースの音響設計は、録音する楽器の特性により異なります。ドラムやエレキベース等を収録するブースでは、演奏音が大きいため高い遮音性能が要求され、音場的には比較的デッドな仕上りとします。ピアノブースは演奏者が指揮者を視認できることはもちろん、マイクアレンジを想定した反射面と吸音面の配置検討が必要です。また、ボーカルブースは生き生きとした音が収録できる設計とし、他方MAスタジオ等のアナブースはクリアなナレーション収録をするために、ボーカルブースよりややデッドな音場設計が求められます。

音場シミュレーション・測定・音響調整技術の融合

弊社の役割は、お客様とのコンセプト決めから建築音響設計・施工、完成時の測定による性能確認や音響調整まで幅広いですが、一貫して大切にしていることは、お客様と一緒に「音を聴く」姿勢、また、お客様が意図した「音場に仕立てる」という姿勢です。例えば、伝送周波数特性、残響時間といった物理的なスペックは比較的簡単に測定・評価できますが、物理特性で音を聴くわけではありません。最終的に、スタジオ音場の仕上りを判断するのはお客様の耳なのです。もちろん物理的スペックをクリアすることは大切で、そのために音響設計や目標性能確保する音響工事を行った上で、音場のイメージをお客様と共有し、その実現に向けて様々な試みを行い、共有したイメージを具現化する音響設計・施工を行います。

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