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聴感実験システム 「真耳」(聴能形成)

音響心理測定を支援する「真耳」システム

「真耳」は、音の持つ心理的な側面の測定を支援するシステムです。
音には、‘音波’という物理現象と‘聴覚’という感覚の二つの意味があります。したがって、音を測定するという点でも、物理量の測定と心理量の測定といった両面が考えられます。
一般に「音の測定」というと、ほとんどの場合、前者の物理量(例えば、音圧レベルなど)の測定が思い浮かぶのではないでしょうか。音の物理量の測定は、必要な測定機材(マイクロホン、アンプ、分析器など)を用意し、その操作方法や音に対する基礎知識があれば、比較的容易に行うことができます。
これに対して、音の心理量の測定では、測定機材=人間ということになります。すなわち、測定対象となる音をある人間に聞かせて、その人が感じた印象(心理量)を測定するという手順が必要になります。
音の心理量測定も、物理量測定と同様に目的に応じた種々の測定・分析方法が確立されています。各方法のマニュアルに沿って適切に測定を行うことによって、目的に見合った間違いの少ない結果を得ることができます。しかし、人間には個人差がありますから、音を聞いた人がその音に対してすべて同じ印象を持つとは限りません。その他にも、人間の判断に伴う変動要因(例えば、疲労や単調感などの時間的な要因、うその判断、思い違いなどによる変動)によって影響を受けるので、複数の人のデータを測定して、その結果を統計的に処理するといった作業が必要になります。このように、音の心理量測定では、物理量測定と比較してかなり複雑な作業が要求されます。このため測定者の作業負担は、物理量測定の場合とは比較にならないほど大きくなります。
「真耳」は、上記の測定者の作業負担を軽減するために開発されたシステムです。種々の測定方法をサポートし、測定に関するほとんどの作業はもとより、必要なデータ、さらには測定結果まで効率的に管理します。また、ご要望に応じてオリジナルの手法の組み込みやシステムのカスタマイズも可能です。

「真耳」システムの概要

システム構成例の写真「真耳」システムは、音の心理測定を管理するアプリケーション・ソフトウェアとそれを実行するコンピュータ・システム、被験者に音刺激を呈示するためのオーディオ・インターフェース、被験者の応答を収集するための応答端末で構成されます。
本システムでは、音刺激をコンピュータ上のファイルとして取り扱い、サウンドカードなどのオーディオ・インターフェースを利用してコンピュータからダイレクトに呈示します。音刺激に対する被験者の応答は、応答端末により測定の進行に合わせてリアルタイムで収集されます。また、本システムではホストと端末との接続はLANにて行います。無線LANを使用することにより、ケーブルレスでの実験環境を構築することも可能です。
「真耳」システムを用いた音の心理量測定は次の(1)〜(8)の手順で行います。
手順(2)〜(7)までが「真耳」システム上での処理となり、「真耳」システムを用いることで音の心理量測定にかかる作業負担を従来に比べて大幅に低減できます。

「真耳」による音の心理測定の一般的な手順

■ 「真耳」による音の心理測定の一般的な手順

  1. 測定計画立案

    音のスペシャリストである私たちが経験や実績に基づき、最適な計画を立案します。

  2. 音素材の用意

    被験者に刺激として呈示する音素材(サウンドファイル)の用意をします。

  3. 音刺激リストの作成 <「真耳」システムにて処理 >

    処理測定に使用する音素材(サウンドファイル)の登録をします。

  4. 再生スケジュールの作成 <「真耳」システムにて処理 >

    音刺激の呈示パターンと測定試行数、各試行で再生する音刺激と被験者の応答受付時間などの設定をします。

  5. 測定パラメータの設定 <「真耳」システムにて処理 >

    測定内容に応じた被験者に対する教示情報や応答ボタンの設定をします。

  6. 測定の実行 <「真耳」システムにて処理 >

    再生スケジュールに沿った音刺激を再生および、各試行に対する被験者の応答収集をします。

  7. 結果の出力 <「真耳」システムにて処理 >

    結果を集計・表示および保存をします。

  8. 測定結果の分析

    統計処理ソフトウェアを用いた「真耳」システムでの測定結果の分析をします。

端末画面(SD法)

また、心理測定では、被験者の特徴(年齢、経験など)に応じて、得られた測定結果を分類することが必要になるケースがしばしばあります。本システムでは、このような被験者の情報を管理する機能(被験者アンケート機能)もサポートしています。結果の分類に必要な項目を自由に設定することが可能で、また、応答端末を利用して被験者の情報を各自に直接入力してもらう機能も装備しています。
「真耳」を利用して実現できるアプリケーションとして、「聴能形成」と「聴感実験」の二つがあります。「聴能形成」は、音に対する感性を育てるための教育プログラムとしてご利用いただいており、「聴感実験」は、音に対する主観的な印象を測定し、その結果を音の物理量と関連付けて、各種製品開発や聴覚に関する各種研究に利用いただいております。

音に対する感性を育てる「聴能形成」

音の違いを把握するためには、高価な分析器を使いこなすことも重要ですが、それに優るとも劣らない能力を持つ耳を鍛えるのも大切なことです。人間の耳は、訓練を重ねれば、微妙な音の違いを瞬時に聴き分けられるようになります。音の違いを聴き分ける洗練された能力を身に付けた人が、その違いを音の物理的特徴を表す言葉で適確に表現できれば、これに優る分析器は存在しないといっても過言ではありません。
このような素晴らしい耳「ゴールデンイヤー」を持つ人々は、音楽家を始めとして、楽器の調律師、録音エンジニアなどの音の作品作りに関わる専門家はもとより、オーディオ機器の開発、騒音対策技術者など、音に関わるあらゆる分野において活躍しています。彼らは、音を聴いただけでその違いを瞬時に察知し、次にどこをどうすれば良いかを適確に判断できる能力を身に付けています。
従来、このような能力は、長年の実務経験を経てはじめて獲得できるものとされてきました。しかし、企業や研究機関にとっては、第一線で活躍できる技術者を、できるだけ早く育てたいと思うのが当然です。
「真耳」は、このようなニーズにお答えする、革新的な教育カリキュラムである「聴能形成」を支援します。「聴能形成」とは、音に対する感性の教育・訓練を体系化した方法で実施することにより、音響技術者の早期育成を実現するものです。

音の物理量と心理量の関係を調査する「聴感実験」

ヘッドホン受聴によるPDAを用いた応答集計の実験風景写真音の善し悪しを最終的に判断するのは人間です。物理的な違いがわずかしかない音を耳にしたとき、心理的に得られる印象が大きく異なることがあります。また逆に、物理的に大きな違いがあっても、その音を聞いたときにほとんど差を感じない場合もあります。音の物理的な特性を変えるときに、人間がそれを聞いてどのような違いを感じるのかを知っておくことは非常に重要です。
例えば、同じ大きさと感じる騒音でも、その時間構造や周波数特性の違いによって、耳で聞いたときの印象がかなり異なってくる場合があります。騒音対策の基本は、音を小さくする、あるいは究極的にはなくすことですが、騒音の大きさを限界まで対策しても十分な成果が得られないような場合、人間が聞いたときに受ける心理的な印象を変えることができれば、それまで問題だった騒音が気にならなくなることもあります。
一般に、シンプルな構造を持つ音に対しては、その物理的な特徴と心理的な評価の間には非常に高い相関があり、周波数と高さ、振幅と大きさ、スペクトル構造と音色の関係など、これまでに種々の法則が得られています。しかし、現実に耳にする音には、ほとんどの場合非常に複雑な構造を持つものが多く、これらの関係が現状で判明している法則ですべて説明できるとは限りません。そこで現状では、音の物理量と心理量の間に単純な法則性が見出せないような場合には、複数の人々に実際にその音を聞かせて心理量を測定し、物理量との関係を調査する「聴感実験」が行われています。
「真耳」は、音の物理量と心理量の間にある法則性を探るための「聴感実験」を支援します。「聴感実験」には、調査目的に応じて、種々の体系化された実験手法が確立されています。「真耳」は、一対比較法、系列範疇法、SD法などをはじめとして多数の実験手法をサポートしています。

聴能形成/聴感実験用 音刺激作成・編集ソフトウェア SnjST

・聴能形成/聴感実験に必要な音刺激の作成や編集に最適化

聴能形成や聴感実験では、まず訓練計画や実験計画などを立案し、それに従って音刺激を用意します。音源の収録・作成に始まり、ひとつの音源に対して少しずつ特性を変えたものを複数作成したりなど、地道で非常に手間のかかる作業となっています。これらの作業は汎用のソフトウェアなどを利用して行われることが多く、複雑な操作方法やスクリプトなどを駆使する必要がありました。
SnjSTでは、聴能形成や聴感実験で必要とされる音刺激の作成・編集に特化し、効率的な音刺激の作成・編集をサポートします。

・エフェクト効果をすぐに確認できる卓越したリアルタイム処理

SnjSTには、聴能形成や聴感実験で必要となる様々なエフェクトが用意されています。これらのエフェクトは各々のパラメータ変化に対してリアルタイムに追従(*1)し、試聴しながら音刺激に対する効果の確認を行うことができます。この機能により、各パラメータに対応する物理特性の変化を音の変化として聴くことができますので、能動的な聴能形成訓練としても非常に高い効果を期待できます。
また、特定のパラメータ値を記憶しておくことができるプリセット機能も用意されていますので、複数のパラメータの組み合わせなどを簡単に切り替えることができます。

・音刺激作成の手間を低減するバッチ処理機能搭載

訓練計画や実験計画に従って音刺激を準備する際、ひとつの音源に対して、異なる処理を施したり、逆に複数の音源に対して同一の処理を施したりすることがあります。これらの膨大な量の音刺激を手作業で作成するには非常に多くの時間がかかります。
そこで、SnjSTではバッチ処理機能を搭載し、これらの処理を一括して行うことができます。この機能により、音刺激の製作にかかる手間を劇的に低減させることができます。

【エフェクト一覧】
波形作成 純音、周期的複合音(複数周波数を指定)の作成
オールパス及び1/1、1/3オクターブバンドノイズの作成
波形編集 レベル調整(*2)
音源スペクトルのイコライジング(*2)
ローパスフィルタリング(*2)
ハイパスフィルタリング(*2)
バンドパスフィルタリング(*2)
バンドストップフィルタリング(*2)
残響時間を指定し、残響を付加
AM、FM変調の付加
歪み(ディストーション)の付加
音の立ち上がり時間の変更
音の立下り時間の変更

システム構成

【ハードウェア構成】
ホスト・コンピュータ Windows OS(2000/XP/Vista)が動作するPC/AT互換機(*3)
応答端末 Windows OS(2000/XP/Vista)が動作するPC/AT互換機、
Pocket PC 2003/2003SE, Windows Mobile5.0/6が動作する携帯端末(*3)
オーディオ・インターフェース ホスト・コンピュータ内蔵のサウンド・カード(*4)など
その他 サウンド再生用オーディオ機器(アンプ、スピーカなど)、LAN(*5)、各種接続ケーブル他
【ソフトウェア構成】
ホスト・ソフトウェア 「真耳」ホスト・アプリケーション・ソフトウェア for Windows
基本機能
音刺激の再生スケジュール作成・実行など
被験者アンケート機能
被験者情報の管理(応答端末によるデータ取材機能を含む)
聴能形成機能
聴能形成のための測定計画・測定実行・結果管理など
聴感実験機能(*6)
聴感実験のための測定計画・測定実行・結果管理など
SD法モジュール
一対比較法・系列範疇法モジュール
ME法モジュール
応答端末・ソフトウェア 「真耳」応答端末・アプリケーション・ソフトウェア for Windows/Pocket PC/Windows Mobile
基本機能
ホスト・コンピュータとの通信機能他
被験者アンケート機能
被験者情報のデータ取材のためのユーザ・インターフェース
聴能形成機能
聴能形成の応答収集のためのユーザ・インターフェース
聴感実験機能
聴感実験の応答収集のためのユーザ・インターフェース
SD法モジュール
一対比較法・系列範疇法モジュール
ME法モジュール
オプション・ソフトウェア
聴能形成/聴感実験用 音刺激作成・編集ソフトウェア SnjST
聴能形成/聴感実験用 音刺激作成機能(*7)
聴能形成/聴感実験用 音刺激編集機能(*7)

*1:一部のエフェクトについてはリアルタイムに追従しないものもあります。また、ご使用の環境によっては、リアルタイム処理ができないこともあります。
*2:トータルの音圧レベルを維持したままエフェクトをかけることができます。
*3:今後リリースされる新OS(Windows 7等)への対応も予定しております。
*4:測定結果の信頼性を確保するために、当社では高品質のサウンドカード(米Digital Audio Labs社のCardDeluxeなど)を推奨しています。
*5:ご使用の環境によっては、スイッチングハブなどの機器が必要になる場合があります。また無線LANを使用する場合は、無線LANアクセスポイント、無線LANカード等が必要となります。
*6:これら以外の精神物理学的測定法(被験者調整法、極限法、PEST法など)も対応可能です。その場合、測定に利用可能な応答端末は1台のみとなります。
*7:「真耳」システム以外のソフトウェアを利用して音刺激の作成・編集することも可能です。音刺激にはMicrosoft WAVEフォーマットのサウンド・ファイルを利用できます。
*8:「真耳」システムには測定結果の統計処理ツールは含まれていません。
エス・ピー・エス・エス社の統計処理ソフトウェア「SPSS」に対応したフォーマットで測定結果及び被験者データベースをエクスポートすることが可能です。
*9:「真耳」システム・ソフトウェアは、基本機能+オプション機能(モジュール)という形で提供されています。 目的に応じて自由にシステムを構成することが可能です。

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